映画『OVER DRIVE』は、クルマ好きの子供にもおすすめの映画!
公道を舞台にクルマが最速タイムを競い戦う、ラリー。「路上の格闘技」とも言われるその激しい走りは、観る者を圧倒します。
そんなラリーをテーマにした映画『OVER DRIVE』が2018年6月1日に公開となりました!
ここでは、その『OVER DRIVE』の観どころを徹底特集。また、映画を観る前に知っておきたい情報についても解説していきます。しっかり予習して、映画を存分に楽しみましょう!
※ 記事中のラリー車の写真は映画の画像ではなく、ラリーのイメージショットです。予めご了承ください。
Contents
ストーリー
世界最高峰のラリー競技、WRC(世界ラリー選手権)。その登竜門となるSCR(SEIKOカップラリーシリーズ)を戦うトップチーム、スピカレーシングファクトリーに所属する檜山兄弟を軸にストーリーは進んでいきます。
寡黙で真面目、確かな腕を持つチーフメカニック兼エンジニアである兄の篤洋(東出昌大)。一方で自由奔放であり、時に無謀とも言える走りを見せWRCへのステップアップを目指す弟・直純(新田真剣佑)。ふたりはたびたび意見の食い違いから衝突を繰り返し、チーム内にも不協和音が生じ始めます。
そんな中、直純の新しいマネージャーとして遠藤ひかる(森川葵)がチームに派遣され、加入。次第に兄弟の確執の原因となった、過去の出来事が明らかになっていくのです。
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ミッドランドスクエアシネマで舞台挨拶❗上映直後の観客の方々から聞く熱い感想に、キャスト・スタッフ一同胸が熱くなりました。#東出昌大 #新田真剣佑 #overdrive #6月1日公開 #駆けろ pic.twitter.com/0xNAHxXuXu
— 映画『OVER DRIVE』公式 (@overdrive_movie) 2018年5月27日
観どころ
この映画の見どころは、何と言っても「リアル」を徹底的に追及したところでしょう。時には公道を封鎖し、大規模なロケを敢行。まるで海外で撮影したような迫力のある映像は、観る人の度肝を抜くことは間違いありません。
撮影体制がリアルなら、劇中に登場するクルマたちも徹底的にリアルさを追求。主人公のひとりである檜山直純が駆るトヨタ・ヤリス(日本名、ヴィッツ)は、何と南アフリカの国内ラリー選手権で活躍していた正真正銘の競技車両。
S2000(スーパー2000)と呼ばれる、WRCを戦うWRカーのすぐ下のカテゴリーで戦ったマシンです。映画の設定上のマシンスペックは1.6リッターターボ+AWDとなり、現在のWRCで照らし合わせるとR5規定をベースとしたSCR独自のレギュレーションに沿った作りになっています。
監督は『海猿』の羽住英一郎!
この壮大なモータースポーツロマンのメガホンを執ったのは、これまで『海猿』や『暗殺教室』『ワイルド7』など数々の名作を手掛けてきた羽住英一郎。コアなラリーファンだけでなく、一般のクルマに明るくないライトな観客にも受け入れられる映画を制作するというのは並々ならぬ苦労があったのは想像に難くありません。
しかし『踊る大走査線』シリーズなどでプロフェッショナルの働きぶりを映像として表現したノウハウが活かされ、リアルで息を呑むラリーの世界観を見事に一大エンターテインメントとして再現しています。
脚本は完全オリジナルストーリー
そしてこの映画のもうひとつの特徴は、漫画などの原作が存在しないこと。映画完全オリジナルストーリーとなっています。
脚本を手掛けたのは、女子高校生の切ない恋愛模様を描いた映画『ストロボ・エッジ』などで有名な桑村さや香。1982年生まれの36歳という、今もっとも注目されている新進気鋭の作家です。女性視点の丁寧な感情や状況表現は、ラリー初心者でも肩ひじ張らず楽な気持ちで観進めることができるでしょう。
ちなみに小説版は『翼をください』や『忍者だけど、OLやってます』などを執筆した、橘ももがノベライズ。こちらもまた若手らしい、サクサクと読み進めやすい文体が印象的です。
主題歌は、WANIMAのDrive!
監督や脚本陣が豪華なら、映画に華を添える主題歌を歌うアーティストもこれまた豪華。
昨年は紅白歌合戦に初出場し、今乗りに乗っている熊本出身のスリーピースバンドWANIMAが担当します。『ともに』や『やってみよう』同様、思わず心を熱くしてくれるメッセージ性のある彼らのストレートな歌詞やメロディは、まさに疾走感のあるラリーにぴったりの仕上がりとなっています。
予告動画
ショートバージョン
ロングバージョン
映画「OVER DRIVE」をもっと楽しくする豆知識
スピカレーシングとは?
都築一星(吉田鋼太郎)が代表を務める架空のレーシングファクトリーが、スピカレーシングです。
当初は自動車パーツの販売をメインビジネスとしていましたが、徐々に業務を拡大。自社ブランドでのパーツ開発に着手するようになり、サスペンションキットやサスペンションアーム、LSDやクラッチシステムなどを製造するまでに至ります。その他ロールケージやオイルキャッチタンクといった、競技に欠かせないパーツも製造・販売。
檜山兄弟はメカニック、ドライバーとしてこのチームからWRCという高みを目指していくのです。
本物のラリードライバーが運転する!
迫力の走行シーンが終始展開される、この映画。もちろん(残念ながら?)実際にドライビングをしているのは、出演する俳優たちではありません。しかしながら、本物のラリーファンなら思わず顔がほころぶような豪華なドライバーが担当しています。
そのひとりが、奴田原文雄。「日本一のランエボ使い」として名高い彼は、全日本タイトルを10回も獲得している名実ともに現役トップドライバーとして君臨しています。2006年にはモンテカルロラリーで日本人初優勝を遂げるなど、海外経験が非常に豊富なのも彼の特徴と言えるでしょう。
そしてもうひとり、勝田範彦もこの映画のためにステアリングを握りました。全日本ラリーでは常にライバルである奴田原と優勝争いを演じるなど、現全日本チャンプとして熱く盛り上がる走りをスクリーンでも見せてくれています。ちなみに実父の照夫、実息の貴元もラリードライバーという、まさに「ラリー一家」という点も見逃せません。
実名で登場する企業がズラリ!
劇中のラリー選手権SCRは架空のシリーズですが、マシンに貼られたスポンサー企業は実際にこの映画に協賛した実在する企業たちです。クルマ好きならもちろん、クルマをよく知らない方でも一度は聞いたことがあるものもあるでしょう。たとえば主人公の駆るヤリスには、
- パイオニア(音響機器メーカー)
- トヨタ自動車(自動車メーカー)
- 横浜ゴム(タイヤ・ゴム製品メーカー)
- TONE(工具メーカー)
- トライジャポン(オイルメーカー)
- ブリッド(シートメーカー)
- エムケーカシヤマ(ブレーキメーカー)
- 藤壺技研工業(マフラーメーカー)
- キャロッセ(パーツメーカー)
- ワーク(ホイールメーカー)
- PIAA(パーツ販売)
- AVO/MoTeC JAPAN(自動車用コンピュータ販売)
- エンジニア(工具メーカー)
- Deen(工具メーカー)
- SALOMON(スポーツ用品メーカー)
- LEARS(モータースポーツギア販売)
といったスポンサーロゴが貼られ、彩りを添えています。
これまでのクルマ映画では架空のスポンサーロゴが用いられることが多く、そのあたりが魅力を半減していたのもまた事実。しかしこの映画ではなるべく実在する企業のロゴが登場し、ファンも納得するクオリティとなっています。
ライバルのマシンも徹底したリアリティで登場
ライバルである新海彰(北村匠海)や石橋克己が駆るマシンも、ヤリス同様徹底した考証のもとに作り込みがおこなわれている点も見逃せないポイントです。
最大出力380PS、最低車両重量1,200kgというラリー好きなら「こういうスペック、アリだよね」と思わずうなずいてしまいそうなリアルな設定で製作されたシトロエン・DS3やミニ・クロスオーバーをはじめ、かつてラリー界を席巻したスバル・インプレッサや三菱・ミラージュ、トヨタ・セリカなども登場しています。
どんなシーンで登場するのか、非常に楽しみですね。
主役マシン「スピカレーシング ヤリスSCRS」が実際のラリーで優勝!
本作のもう一つの主役はラリーマシン『トヨタ・ヤリスSCRS』が、実際のラリーに出場しました。
国際格式で行われる『FIAインターナショナルラリー2018日本スーパーラリーシリーズ』の第2戦 モントレー2018において、「スピカレーシング ヤリスSCRS」がなんと優勝を遂げたのです。
クルーを務めたのはCUSCO RACINGの炭山裕矢/保井隆宏組。今季、アジア・パシフィックラリー選手権で2連勝している実力派。さらにメカニックとしては、映画でメカニック監修を行った三枝豊和氏が参加するというこだわりよう。
しかも、クルーもドライバーも劇中のレーシングスーツ、メカニックスーツを着用する徹底ぶりです。
今回限りの特別参戦ということですが、本作の『リアル』へのこだわりの強さが伺い知れるエピソードですね。
まとめ
兄弟の確執から始まる、世界最高峰のモータースポーツへの挑戦を描いた『OVER DRIVE』。
ややもすれば通常ではありえない破天荒なドライビングテクニックの登場や、ベタベタな恋愛ストーリーになりがちな日本のクルマ映画。しかしこの映画では綿密な取材のもとに非常に丁寧にストーリーが展開し、ラリーという現場で生きる人間の「リアル」が描かれていることに新鮮な気持ちが湧き起こるでしょう。
これを起爆剤として、多くのモータースポーツファンが生まれることを願って止みません。この夏は家族で、本物だけが持つ迫力を思う存分味わい尽くしましょう!
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