ミニバンの衝突安全性能ランキング!一挙6車種比較
自動ブレーキなどの普及により「ぶつからないこと」の安心感が広がりつつある昨今のクルマ。しかしやはりそれも万能ということではなく、事故を100%防ぐとは断言できません。
そうなると大切になってくるのが、衝突安全性能。もしも「ぶつかってしまった」時にその衝撃をどう和らげるか、乗員や歩行者をどう守れるかが気になることでしょう。
そこで今回は、ミニバンの衝突安全性能をランキング形式で紹介します。もっとも安全なミニバンの座に輝くのは、いったいどんなクルマなのでしょうか?
Contents
ミニバン衝突安全性能ランキング
対象車種の衝突安全性能をもとにしたランキングを、以下に掲載します。
順位 | 車名 | 総合評価 | 乗員保護性能評価 | 歩行者保護性能評価 | PSBR評価 |
1 | ヴォクシー ノア エスクァイア |
182.3 | 90.91 | 87.24 | 4.0 |
---|---|---|---|---|---|
2 | ステップワゴン | 180.9 | 91.33 | 77.21 | 4.0 |
3 | アルファード ヴェルファイア |
178.4 | 90.82 | 73.99 | 4.0 |
4 | フリード | 177.2 | 90.12 | 72.73 | 4.0 |
5 | セレナ | 175.8 | 90.7 | 75.06 | 0.8 |
※独立行政法人 自動車事故対策機構(NASVA)「自動車アセスメント」を参考に作成
※PSBR…「パッセンジャーシートベルトリマインダー」の略。乗員がシートベルトを装着していない際、運転者に知らせる装置。
それでは、これら対象の車種について細かく見ていくことにしましょう。
第6位:トヨタ・シエンタ
6位にランクインしたのは、トヨタ・シエンタです。トヨタ最小クラスのミニバンですが、安全性についてはしっかりと考え抜かれている点は高く評価できます。
衝撃吸収ボディ+高強度キャビンで構成される衝突安全ボディ「GOA」は、車重や車高の異なる他のクルマとの衝突時の共存を追求する「コンパティビリティ」という概念を導入。万が一衝突が起こった際にも、自車・相手車両双方を強く守ってくれるのは心強いですね。
また歩行者傷害を軽減する構造をボンネットなどフロント部に取り入れることで、歩行者に与える事故の影響を最小限にする努力もおこなわれています。
第5位:日産・セレナ
2016年から販売されている、日産・セレナ。最新車種ということもあり、安全装備に関しても非常に進んでいる点は要注目と言えるでしょう。
日産の衝突安全ボディ技術である「ゾーンボディ」を採用し、衝突時には衝撃吸収ボディがエネルギーを効率的に吸収。そして独自のボディフレーム構造でキャビンをしっかりと守り、乗員を保護します。
もちろん対歩行者衝突保護性能も飛躍的に向上しており、頭部や脚部への傷害を緩和。この安全への取り組みが評価され、自動車アセスメントの衝突安全評価では最高ランクとなる「ファイブスター賞」を獲得しています。
第4位:ホンダ・フリード
そのコンパクトさと高い機動性、幅広いラインナップなどから高い評価を得ている、ホンダのミニバンがフリードです。
「Honda SENSING」など先進の予防安全性能に加え、衝突安全性能にも力を入れています。
ホンダ独自の衝突安全ボディ「G-CON」により、衝突時の衝撃(G)を制御。自車のみならず、相手車両への被害も最小限に抑える構造を取り入れているのが特徴です。これはボディを構成する鋼板の素材変更が功を奏したかたちで、安全性能が向上したのはもちろん、走りの軽快感も獲得しています。
歩行者保護にも最大限に配慮されており、すべての人に安心ですね。
第3位:トヨタ・アルファード/ヴェルファイア
昨年末ビッグマイナーチェンジがおこなわれたトヨタ・アルファード/ヴェルファイアは、堂々3位にランクイン。Lクラスミニバンとしては、最高位に位置することとなりました。
第二世代の「Toyota Safety Sense」を採用するなど予防安全性能にとかく目が行きがちですが、衝突安全性能も高いレベルのものが取り入れられています。
その結果、自動車アセスメントの評価では総合178.4点という点数を獲得。特にキャビンは7個のエアバッグシステムによって乗員を安全に包み込み、被害を軽減するなどの取り組みがなされています。
まさに「安全にも一切妥協しない最高級車」と言えるでしょう。
第2位:ホンダ・ステップワゴン
昨年大規模なマイナーチェンジがおこなわれ、ハイブリッド車の追加などラインナップがさらに充実したホンダ・ステップワゴン。こちらも先進の予防安全装備が備わり、安心してドライブが愉しめるのが特徴です。
同時に衝突安全性能についても細心の注意が払われていて、衝突安全ボディ「G-CON」を全車に採用しています。これは軽量で強度に優れた素材を適材適所に配置することで、衝突時の衝撃を和らげてキャビンを強く守るというコンセプトです。
多くの人が乗るミニバンだからこそ、このような安全に配慮したクルマを選びたいものですね。
第1位:トヨタ・ヴォクシー/ノア/エスクァイア
ミニバン衝突安全性能ランキング、栄えある1位に輝いたのはトヨタの売れ筋ミニバンであるヴォクシー/ノア/エスクァイアです。
2014年から販売されているのでノミネートされている車種としてはもっとも歴史のあるクルマですが、それでもトップを獲得するあたりはさすがトヨタと言うべきかもしれません。
自動車アセスメントの総合評価は182.3点で、特に評価が高かったのは歩行者保護性能。87.42点を獲得し、これは他を大きく引き離す断トツの数値です。
ミニバンとしての出来も非常に良く、あとは予防安全性能がさらに高まれば「鬼に金棒」と言ったところでしょう。
知っておきたい衝突安全にまつわる機能
対人保護
近年「自動車対自動車」の事故だけでなく「自動車対人間」の事故の際の被害を最小限に抑える、いわゆる「対人保護」という考え方がクローズアップされつつあります。
この考えの先駆けとなったのが、2007年に日産・スカイラインで採用された「ポップアップエンジンフード」です。
これは万が一歩行者を跳ねてしまった場合、ボンネットの後端を90mmほど跳ね上げて歩行者を受け止めるという技術でした。
その後も歩行者保護の技術革新は進み、2010年代に入るとボルボが世界初となる「歩行者エアバッグ」を開発。国産車でもスバル・インプレッサが搭載して話題となっているのはご存知のことでしょう。
このほかにもバンパーの形状や素材に工夫を凝らして衝撃吸収性を高め、膝への傷害を軽減するなどといった取り組みもおこなわれています。
シートベルト
ドライバーや乗員を守るためにまずすべきことは、何はなくともシートベルトの装着です。
平常時は乗員の快適性を損なうことなく体にフィットし、緊急時には高い拘束性が求められる非常に複雑な部品と言うことができます。
近年ではこの拘束という性能に加え、衝突時にシートベルトを引き込んで乗員の飛び出しを防ぐ「プリテンショナー機能」と、拘束によって乗員に一定以上の負荷がかかるのを抑えて衝撃を緩和する「ロードリミッター機能」が備わっているクルマが増えてきました。
そして現在ではさらにその機能が進化し、予防安全システムと連動して衝突の危険がある、または回避できない場合にモーターによりシートベルトを引き込む「モーター巻取り式リトラクター」などの研究も進められているのです。
衝突安全性能に関する疑問
衝突安全って、ボディを硬くすれば良いわけではないの?
結論から言うと、ボディの剛性と衝突安全性能は無関係です。よって、ボディ剛性が高いからと言って衝突安全性能が高いとは言えません。
現在のクルマは「乗員部分は強く、それ以外の部分は弱く」造られています。これは乗員部分以外のところで衝撃を十分に吸収して、衝突時のエネルギーを和らげるのが主な目的です。
たとえばすべてが硬いクルマがあるとすれば、それは衝突時のエネルギーを吸収せず跳ね返してしまうこととなり、乗員に深刻なケガや命の危険をもたらすだけでなく歩行者保護という観点からも非常に危険な「鉄の凶器」と化してしまいます。
近年ではこの歩行者保護というのも、自動車の衝突安全を語る上で重要なファクターとなっているのは先述したとおりです。
こういったことから、ただやみくもにクルマを硬くすれば良いというわけではないのですね。
追突に関する安全評価はあるの?
自動車アセスメントを公表する自動車事故対策機構(NASVA)の試験項目には、追突を想定したものは存在していません。
しかし日本自動車研究所(JARI)では追突試験をおこなえる評価試験方法が導入されており、2005年にはこの試験に対応した衝突安全試験場が茨城県に設置されました。
ここでは実際に自動車同士を衝突させる試験をはじめ、衝突時に変形しうるアルミハニカムを装着した障壁に自動車の一部を衝突させる「対デフォーマブルバリア試験」、アルミを装着した障壁を持つ台車(ムービングバリア)を自動車に衝突させる「対ムービングバリア試験」などもおこなわれています。
まとめ
予防安全性能に比べて目立たない衝突安全性能ですが、いつ起こるかわからない不測の事態にも十分に備えてクルマ選びをするのはとても大切なことです。
かけがえのない家族を守るのは、ハンドルを握るドライバーの責任でもあります。ぜひ安全なクルマを選んでいただき、快適なドライブを心いくまで楽しんでいただきたいものです。
もちろん予防安全システムや衝突安全ボディを過信せず、運転には細心の注意を払うこともお忘れなく。
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