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ステップワゴンの燃費が伸びない?実燃費のライバル比較とダウンサイジングターボの実力

ホンダの5代目ステップワゴン(RP型)は、ダウンサイジングターボでの燃費とパワーの両立が目玉の一つとなりました。2017年10月にはハイブリッドモデルの追加も話題となりましたが、普通のガソリンエンジンの方の燃費はいったいどうなの?ということも気になりますよね。

ターボだからやっぱり燃費は期待できないのでは?とか、街乗りのような発進・停止を繰り替えすと燃費悪そう、とか色々と思い浮かぶ疑問も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、5代目ステップワゴン(RP型)の実際の燃費を細かく見ていきたいと思います。

カタログ燃費(JC08モード)

まずはカタログ燃費からチェックしてみます。

グレード名称にいちいち「Honda SENSING」と付いていて読みづらいですが…。

駆動形式 グレード 燃費(km/l)
FF SPADA Cool Spirit Honda SENSING 15.4
FF SPADA Honda SENSING 16.0
FF G・EX Honda SENSING 16.2
FF G Honda SENSING 16.2
FF B Honda SENSING 17.0
4WD SPADA Cool Spirit Honda SENSING 15.0
4WD SPADA Honda SENSING 15.0
4WD G・EX Honda SENSING 15.4
4WD G Honda SENSING 15.4
4WD B Honda SENSING 15.4

全体的に16.0km/l前後といった印象ですね。

最上グレードの「SPADA Cool Spirit」が低めなのは、17インチタイヤを履いているからです。「B」グレードは簡素な装備なので50kg以上車重が軽く、燃費の数値に表れています。

カタログ燃費だけ見ると、「トヨタ ノア/ヴォクシー/エスクァイア」の16.0km/lと同程度、最高17.2km/lを記録する「日産 セレナ」に若干届いていないということになりますが、大きくは差が付いていないとも言えますね。

4WDによる燃費の悪化は0.8km/l程度で、セレナと同程度。1.0km/lほど悪化するノアよりは若干マシですが、こちらも大差ないと捉えて問題ないと思います。

街乗りでの実燃費

街乗りでの燃費は、あまり得意ではないようです。

自動車評論家の運転で「11.0km/l」(引用: オートックワン記事のホンダ 新型ステップワゴン 燃費レポート)を出していましたが、ユーザーの方の口コミを多数見ていると実燃費は10km/l前後という印象です。

ストップ&ゴーの多い街乗りでは、減速エネルギーを電気として回収できるハイブリッドとは勝負できません。上手に走って10km/lをコンスタントに超えられれば御の字といったところでしょうね。

情報元 燃費(km/l)
オートックワン記事 11.0
口コミ1 10前後
口コミ2 8-9
口コミ3 10

郊外路での実燃費

郊外路でグッと伸びるクルマも多いのですが、ステップワゴンはあまり伸びないようですね。

郊外路ではアクセル開度が減り、ターボのブーストがかかる場面が減って1.5Lエンジンの燃費で走れるのかなぁと思っていたのですが、予想はハズレ。

ストップ&ゴーは減っても郊外路では加減速や登坂があるわけで、そこで結構ガソリンを食ってしまっている可能性があります。理由については後述。

情報元 燃費(km/l)
オートックワン記事 13.5
口コミ1 12-13
口コミ2 10-12
口コミ3 15

高速道路での実燃費

郊外路と比べて高速道路での燃費はカタログ値に肉薄しています。

郊外路との違いはほぼ一定速度を維持できること。ダウンサイジングターボでは、加減速が大きく燃費を落とす特性を持っているんでしょうかね。

一般的に、ダウンサイジングターボは軽負荷時の燃費は優れる反面、高負荷時にはターボを冷やすために燃料を濃い目にするため燃費が悪化する傾向にあるそうです。マツダのエンジン開発の親分である人見さんがおっしゃっていました。

この結果は、その特性がわかりやすく出た格好なのかもしれませんね。

情報元 燃費(km/l)
オートックワン記事 15.5
口コミ1 15
口コミ2 15-6
口コミ3 16

実燃費を比較!

旧モデルと実燃費を比較

旧型のRK系ステップワゴン(4代目)に比べても数値自体は進化していない印象でした。

先代は2.0LのNAエンジンで特に直噴な訳でもありませんでしたが、熟成されたi-VTECによる高効率化(例: 低負荷時のミラーサイクル化)やドライブバイワイヤ(電気制御スロットル)などで煮詰めていたため、通常のガソリンエンジン同士であれば、今でも通用する高効率エンジンだと思います。

新型のダウンサイジングターボエンジンでは、燃費はそのままに、低回転でのトルクを増やせたというところに大きな意義があるとも言えますね。

新型RP系 旧型RK
街乗り 8-10 8-12
郊外 10-14 10-12
高速 15 14

ライバルモデルと実燃費を比較

 

ライバルのガソリンモデルと比較してみます。

セレナは「簡易ハイブリッド」、ノア/ヴォクシー/エスクァイアは「バルブマチック」、ステップワゴンは 「ダウンサイジングターボ」と各社が注力する省燃費技術を使って争った結果、燃費上は大差ないというデータになりました。

少なくとも、ガソリンモデルを選ぶ際に燃費の数値自体は大きなファクターにならないことがわかりました。

燃費よりも、エンジンの特徴や性能の好みで選ぶとしてみてみるとどうなるでしょうか。ノア3兄弟は馬力もトルクも若干勝っていて、ステップワゴンのターボはかなり低い回転数からトルクが盛り上がってくるという特徴を持っています。一方でセレナについては、パワートレーン自体には際立った個性はありません。

ターボ化による1,500rpmの低い回転から発生するトルク(ライバルは4,000rpm前後で最大トルク)による、静かでゆとりのある走りをステップワゴンの美点として評価する方が良いかと思いました。

新型C27セレナ R80ノア RPステップワゴン
街乗り 8-10 8-10 8-10
郊外 16 14-15 12-16
高速 15 15 15

ステップワゴンRP系が採用している燃費対策とは

ダウンサイジングターボ

大雑把に言うと、エンジンを小さくしておいて不足するパワーをターボで補うエンジンのこと。

エンジンを小さくする理由は、1つはエンジンがコンパクトになることで空いたスペースを室内空間など他のことに使うため。

もう1つは低燃費化です。

エンジンが小さくなるとクルマを軽くできるし、カムやバルブといった周辺の部品を減らしたり軽くしたり、ポンピングロスだったりといった様々な抵抗を減らせるため、少ないエネルギーでクルマを動かせるようになるでしょっていうアイデアですね。

そのため、4気筒のエンジンを3気筒とか2気筒まで減らしてしまったり、排気量を2.0Lから1.2Lとかまで大胆に減らします。

これまでターボ化では燃費が悪化していましたが、直噴化や可変バルブタイミングなどの技術の進歩で悪化を食い止めることができるようになり、ダウンサイジングターボが現実的な手段となり欧州車を中心に採用が拡大されてきました。

ステップワゴンでは、2.0Lから1.5Lへ排気量を減らしています。減少量や気筒数が4気筒のままであることから、燃費自体への貢献は「劇的」とは言えないようです。

その代わり、ターボによって低い回転数から豊かなトルクを引き出し、エンジン音を減らしたり(常用回転数の低減)、余裕感の演出といったメリットを得ています。また、エンジンがコンパクトになり、エンジンルームの前後長を40mm小さくできたようですね。

このことから、「低燃費にするためのダウンサイジングターボ」というよりは、「燃費は維持したまま広く静かな室内を作るためのダウンサイジングターボ」という方が適切じゃないかと思います。

 

まとめ

5代目となったたRP新型ステップワゴンの燃費について、カタログ燃費、実燃費、ライバル比較などを行ってきました。

ステップワゴンガソリン車の燃費はハイブリッドモデルに比べれば見劣りするものの、ガソリン車同士で比較すれば同等の燃費は確保されていました。一方で、加減速が多いとより顕著に悪化するような傾向が垣間見えます。

燃費そのもので判断するというよりは、ダウンサイジングターボで得られた静かでゆとりのある室内であったり、低速から余裕のあるトルク感をステップワゴンの価値として判断してはどうでしょうか。

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